
【カスタムサーフボード】7’4” Wing Fish。同じデザイン思想を、ひとりのサーファーのために。
Shape
Oct 10, 2026
MEET THE RIDER
今回ご紹介するのは、奄美大島在住のレジェンドサーファーのためにシェイプした7’4” Wing Fishです。
オーナーは以前からサーフボードのシェイプに強い興味を持っており、今回使用したフォームも、ご自身が長年大切に保管していた貴重なClark Foam(クラークフォーム)です。
そして、このボードをオーダーするきっかけとなったのが、前回ご紹介した信之助の7’2” Semi-Gunでした。
その7’2”のルーツは、1972年にDick Brewer先生が私のためにシェイプしてくださった7’2” Semi-Gunにあります。
2025年、そのデザインをもとに、信之助がT-REEF Shape Workshopで自分の7’2”をシェイプしました。そして、そのボードを見た今回のオーナーから、「自分のための一本を」というオーダーをいただきました。
1972年のデザイン → 2025年のShape Workshop → 2026年のCustom Board。
ただし、今回の7’4”は、信之助の7’2”をそのまま大きくしたものではありません。
同じデザイン思想を、別のサーファーのためにどう成立させるか。
そこが、今回のカスタムデザインで最も大切にしたところです。
WHAT WE BUILT

Spec | Details |
|---|---|
Length | 7’4” |
Width | 20 7/8” |
Thickness | 3 1/8” |
Nose Wide | 13 1/2” |
Tail Wide | 14 1/2” |
Tail | Wing Fish Tail |
Rail | Down Rail |
Fin Setup | Single Box + 2 Plugs |
THE DESIGN STORY
同じ水の流れを、80kgのサーファーのために再設計する
今回の7’4”をシェイプする上で、私が最も大切にしたことがあります。
それは、ベースとなった7’2”の水の流れと、基本的な乗り味を変えないことです。
ノーズから入った水をボトムへ流し、ボード全体でコントロールしながらテールへ導き、自然にリリース(水を抜く)する。
その結果として生まれる、
Glide(滑走) → Acceleration(加速) → Hold(水を捉える) → Release(水を抜く)という一連の動き。
この基本的な考え方は、7’4”にも受け継いでいます。
ただし、今回のオーナーは約80kg。
7’2”をそのまま大きくしただけでは、同じ乗り味にはなりません。
変えなかったのは、デザインの思想。
変えたのは、その思想を80kgのサーファーに合わせて成立させるための、ボード全体の量とバランスです。

浮力は、ただ厚くすればいいわけではない
約80kgのサーファーを支えるためには、十分な浮力が必要です。
しかし、単純にボードを厚くすれば、それでカスタムデザインになるわけではありません。
私が考えるのは、
どこにボリューム(体積)を残し、どこで整理するのか。
今回の7’4”では、必要な浮力を確保しながら、アウトライン(ボード全体の輪郭)、Foil(厚みの配分)、レールなどを全体で調整しています。
サーファーの体重が増えれば、当然ボードに加わる力も大きくなります。
だからこそ、大柄なサーファーが力を加えた時に、ボードが急激に反応しすぎないようにすることも重要です。
目指したのは、クイックな反応ではなく、
Smooth Response(滑らかな反応)。
サーファーが動いた分だけボードが自然に応え、波の力を受けながら次のラインへつながっていく。
Floatation(浮力) → Stability(安定性) → Response(反応性)
までを、ひとつのデザインとして考えています。

Down Rail × Wing Fish:ホールドしながら、動けるテールへ
今回の7’4”では、Down Rail(ダウンレール)とWing Fish Tail(ウイング・フィッシュテール)を組み合わせました。
Down Railは波のフェイスをしっかり捉え、ボードに安定したHold(ホールド感)を与えます。
一方、Wing(ウイング)はテール手前でアウトラインに変化をつけ、テール側の幅を絞る役割を持っています。
7’4”という長さと十分なボリュームを持ちながらも、後ろ足からテールをコントロールしやすくするためのデザインです。
ただし、ここでも私が狙ったのは、過敏な反応ではありません。
水を捉える。でも、引っかかりすぎない。
反応する。でも、過敏になりすぎない。
80kgのサーファーが自然に力を伝えられる、そのバランスを考えました。

Single Box + 2 Plugs:基本の性格を残しながら、乗り味に幅を
フィンシステムは、Single Box + 2 Plugs(シングルボックス+2プラグ)です。
Single Fin(シングルフィン)を基本としながら、必要に応じてサイドフィンを加えることができます。波のコンディションやサーファーの好みに応じて、フィンセッティングによって乗り味を変えられる余地を残しました。
ただし、フィンセッティングを変えても、私がボードに作った基本的な水の流れそのものは変わりません。
ボードが持つ基本の性格を残しながら、セッティングによってライディングの幅を持たせる。
これも、私がカスタムボードをデザインする時に大切にしている考え方のひとつです。
A PIECE OF CLARK FOAM:
長い時間を経て、一本のサーフボードへ
そして、この7’4”にはもうひとつ、特別な背景があります。
今回使用したのは、オーナー自身が20年間大切に保管していた非常に貴重なClark Foamです。2005年にClark Foamが生産を終了してからも、長い間大切に残されていたフォーム。
2026年4月、私は奄美大島でOpen Shapeを行い、そのClark Foamからこの7’4”をシェイプしました。
私にとって、このフォームは単なる材料ではありません。
このClark Foamには、オーナーが長い間シェイプに興味を持ち続けてきた時間があります。
そして、その大切にしてきたフォームが、自分自身が乗るためのカスタムボードになる。
ひとつの歴史が、新しいサーフボードになった。

同じデザイン思想。でも、同じボードではない。
7’2”と7’4”。
この2本には、同じデザイン思想があります。
しかし、同じボードではありません。
私は7’2”の形をそのままコピーしたのではなく、水の流れや基本的な乗り味を受け継ぎながら、今回のサーファーの体格、体重、そして求める乗り味に合わせて再構築しました。
私がカスタムボードを作る時は、
Surfer(乗る人) → Wave(乗る波) → Design(デザイン)
という順番で考えます。
誰が乗るのか。
どんな波に乗るのか。
何を求めているのか。
その答えによって、必要なボリューム、アウトライン、フォイル、レール、ロッカー、テールは変わっていきます。
だから、
同じデザイン思想でも、完成するボードは同じではありません。
1972年。
Dick Brewer先生が、私のために7’2” Semi-Gunをシェイプしてくださいました。
2025年。
そのデザインを受け継ぎ、信之助がT-REEF Shape Workshopで自分の7’2”をシェイプしました。
そして2026年4月、奄美大島。
その7’2”を見たひとりのサーファーから新しいオーダーが生まれ、長い間大切に保管されていたClark Foamが、
7’4” Wing Fish
として、新しい一本になりました。
デザインは、形そのものをコピーすることで受け継がれるのではないと思っています。その考え方を理解し、次に乗るサーファーに合わせて、新しい形にする。
私が50年以上シェイプを続けてきた中で、大切にしてきたことです。
Same philosophy.
A different surfer.
A new board.
Natural Motion. Ride on!
WANT TO ORDER YOUR BOARD?
T-REEF Surfboard のボードは、すべてフルハンドシェイプ。
あなたの
✔️ サーフスタイル
✔️ 体格
✔️ 目指すライディング
に合わせて、ゼロから設計します。