THE NEXT CHAPTER -

Stories

Jul 5, 2026

「なぜ、40年経った今もなお、新しい挑戦を続けるのですか?」

と聞かれることがありますが、答えはとてもシンプルです。

今回、ブランドディナーで発表したプロジェクトの数々は、最初から計画されたビジネス戦略ではありませんでした。

むしろ、カスタムサーフボードブランドとして日々を積み重ねる中で、ふと立ち止まり、考えたことから生まれたものです。

すべての始まりは、ひとつの素朴な問いでした。

「受け継いできたサーフカルチャーやシェイピング技術を、どうすれば未来へつないでいけるのか。」

その問いに向き合い続ける中で、少しずつ形になり、今回のプロジェクトへとつながっていきました。

私たちにとって、歴史や伝統を守るということは、同じことを繰り返すことではありません。

これまでに感じてきたことや学んできたことを、自分たちなりの形で次の世代へ手渡していくことだと考えています。

だからこそ、2026年を「挑戦の年」と名付けました。

そして気づけば、今年取り組んできたすべての挑戦は、ひとつの場所へとつながっていました。

カウアイ島です。


サーフボードの先にあるもの

多くの方にとって、T-REEFはカスタムサーフボードブランドという印象が強いかもしれませんが、

それはあくまで入り口に過ぎないと、私たちは長い年月をかけて気づきました。

腰越にある「T-REEF Board locker(ボードロッカー&スクール)」には、これまでにさまざまな人が訪れてきました。

初めてサーフィンに挑戦する人。
SUP(スタンドアップパドル)に興味を持った人。
ただ海で静かな時間を過ごしたい人。

それぞれが、それぞれの理由で海と向き合っています。

私たちのサーフィンスクールも、単に技術を教えるための場所ではありません。
海との距離を少しだけ近づけるきっかけをつくりたい。
そんな思いで続けてきました。

ボードロッカーも同じです。

サーフボードの保管場所としてだけではなく、忙しい日常の中でふと立ち寄れる場所。
そんな空間へと育ってきました。

最近では、「ウェルネス」や「心を整える時間」という言葉をよく耳にします。

しかし私たちにとってそれは特別なものではなく、ずっと海のそばにあった感覚です。

波の音を聞きながら過ごす時間。
何も考えずにサーフィンをする時間。

そうした時間の中で、人は少しずつ自分を取り戻していくのだと思います。

その想いから生まれたのが、

T-REEF Surf Retreat(サーフリトリート)

という新しい取り組みです。

都市部からの日帰りリトリート。
湘南で数日間過ごす滞在型サーフリトリート。

私たちが提供したいのは、

海を通して、自分自身に戻る時間です。


仲間とともに作る未来

これから先の物語は、私たちだけでは作ることができません。

今年は、同じ価値観を持つ仲間たちとの新しい挑戦も始まりました。

そのひとつが、Maxim Wetsuitsとのコラボレーションです。

サーフボードとウェットスーツ。
どちらもサーフィンに欠かせない存在でありながら、そこには職人の技術と哲学が込められています。

そしてもうひとつ、私たち自身にとって新しい挑戦でもあるのが、サーフボードとアートの関係を見つめ直すことでした。

サーフボードは、単なるスポーツ用品ではありません。

一本一本に、その人の時間や記憶が刻まれていきます。
海で過ごした瞬間が、そのまま残っていくものです。

だからこそサーフボードは物語を持ち、空間の中でアートとしても成立するのだと考えています。

そこから生まれたのが、インテリアサーフボードプロジェクトです。

ただ飾るためのオブジェではなく、カスタムサーフボードと同じ品質で作られ、

ホテルやレストラン、自宅の空間に自然に溶け込みながら、

必要であれば実際に海で使うこともできるサーフボードです。

私たちは、どんなサーフボードであっても、

いつでも海で使用できる状態であってほしいと考えています。


古いボードに、新しい命を吹き込む

過去を未来へつなぐという考えは、自然とサステナブルな取り組みへとつながっていきます。
それは単なる流行ではなく、これまでの歩みと向き合うためのものです。

現在、T-REEFでは津田ガラスと協力し、昔使っていた古いサーフボードと不要になった鏡やガラスを組み合わせ、新たなアートとして再生するプロジェクトを進めています。

古いものを手放すのではなく、

そこに新しい価値を見出していくこと。

振り返ってみると、

T-REEFが40年以上続けてきたことも、

同じ延長線上にあるのかもしれません。

積み重ねてきた経験や、
出会ってきた人たち、
海で過ごした時間、
そしてシェイピングの技術。

それらを少しずつ形を変えながら、未来へとつないでいくこと。


すべてが始まった場所

2026年の新たな挑戦について考え続ける中で、私たちはあることに気づきました。

これらすべての流れには、ひとつの原点があったのです。

40年以上前、ひとりの日本人サーファー、富永忠男がハワイを訪れました。
そこで出会ったのが、伝説的サーフボードシェイパー、ディック・ブルーワーでした。

サーフボードシェイプを学ぶために始まったその旅は、

やがてT-REEF Surfboardというブランドの始まりとなりました。

そして2025年、カウアイ島で、

私たちは再びディック・ブルーワーとのつながりを取り戻すことができました。

ディック・ブルーワーの妻であるシェリー・ブルーワーは、私たちがビジネス目的で訪れたのではなく、先生への敬意と感謝を持って戻ってきたことを理解してくれました。

そこにあったのは、

敬意と感謝、

そして「もう一度、原点に立ち返りたい」という想いでした。

人はときに、

前に進むために、

一度立ち止まり、

始まりの場所に戻る必要があります。

だから私たちは、2026年5月、

再びカウアイ島へ向かいました。

自分たちの手で、二本のボードをシェイプするために。


自分たちのルーツと向き合い、

この40年間を支えてくれた人たちへの感謝を形にし、

そしてこれから先へ進むための力を受け取るためのボードです。


40年以上経った今でも、

ハンドシェイプで作り出すボードにパワーと魅力を感じています。

カウアイ島でシェイプをして、その確信はさらに強まりました。


私たちのカウアイ島への旅と挑戦は、

まだまだ続きます。